圧力タイプとそれぞれの意味
18. July 2025

温度と並んで、圧力は今日の技術における最も重要な物理量の一つです。圧力の定義はある面に垂直に作用する力とされており、SI単位はパスカル(Pa)です。その他によく使用される単位としては、psi(ポンド毎平方インチ)やbar(バール)があります。
圧力測定技術の分野では、基準点(基準圧)によって圧力の種類が異なります。絶対圧、ゲージ圧、シールドゲージ圧、差圧などが代表的な圧力の種類です。KELLER Pressure 社のピエゾ抵抗型センサは、センサ素子内のダイヤフラムが変形することで圧力の変化を測定します。この変形は、ダイヤフラムの前面(プロセス側)と背面(基準側)との圧力差によって生じます。圧力の種類に応じて、基準側が外部環境に開放されている場合もあれば、密閉されている場合もあります。

絶対圧
絶対圧では、真空を基準としてプロセス圧力を測定します。製造工程において、センサ素子内のダイヤフラムの背面(基準側)を真空にして、その状態のまま密封します。大気圧がダイヤフラムにかかると、センサは気圧(気象学的な大気圧)を測定している状態になります。圧力に関するすべての基本的な物理公式は、絶対圧のデータを基にしています。
圧力単位:bar abs.
基準圧力:0 bar abs.
KELLER Pressure 社の表記:PAA(例:PAA-23SX)
主な用途
• 気圧計
• 真空包装プロセス
• 真空ポンプの監視
• 蒸気圧の測定
• 密閉容器内の液面測定(2つのセンサーを使用)
ゲージ圧(オーバープレッシャー)
ゲージ圧(別名:オーバープレッシャー)では、測定対象となるプロセス圧力を大気圧を基準として測定します。つまり、プロセス圧力と現在の大気圧との差を測定します。大気圧は標高や天候の影響を受けるため、常に変動しています。このため、大気圧からの変動が重要なプロセスでは、ゲージ圧による測定が適しています。ゲージ圧センサの測定セルの背面には必ず通気孔があり、センサ素子がハウジング内部で大気圧を基準圧として取り込める構造になっています。ゲージ圧は、圧力センサで最も一般的な圧力の種類であり、ほぼすべてのアプリケーションや産業分野で使用されています。
圧力単位:bar rel.
基準圧力:大気圧
KELLER Pressure の社の表記:PR(例:PR-33X)
主な用途
• 静水圧による液面測定
• 空気圧システム
• エアコンプレッサー
• プロセス制御用ポンプ
シールドゲージ圧
シールドゲージ圧はオーバープレッシャー(ゲージ圧)の特殊な形式であり、ゲージ圧の測定原理と密閉されたセンサ素子の利点を組み合わせたものです。この圧力タイプは、測定セルの通気が確保できないような過酷な環境で特に有用です。シールドゲージ 圧はあらかじめ定めた基準圧力を基にしており、KELLER Pressure 社では校正の際は通常、1 bar abs. を基準点としています。シールドゲージ圧センサは外部環境から密閉されているため、大気圧の変化を補正することはできません。その結果として生じる測定誤差が無視できるレベルである場合もありますが、用途によっては別途大気圧を測定し補正を行う必要があります。KELLER Pressure 社では、シールドゲージ圧センサを絶対圧センサ素子を使って製造することで、温度変化によるセンサ信号への影響を最小限に抑えています。
圧力単位:bar
基準圧力:1 bar abs.
KELLER Pressure 社の表記:PA(例:PA-23SY)
主な用途
• 測定セルの通気が不可能または望ましくない、過酷な環境での圧力測定
• 大気圧の変動による測定誤差が圧力計の精度に比べ、無視できる高圧用途
• ケーブル端部周辺に湿気や浸水のリスクがある静水圧による液面測定
差圧
差圧では、2つのプロセス圧力の差を測定します。差圧を測定するゲージには必ずプロセス接続口が2つあります。差圧測定は、1台のセンサで双方向に測定する方法(二方向差圧)と、2台のセンサの信号を差し引いて測定する方法があります。センサ1台の場合、ライン圧(システム圧)が非常に高くてもわずかな圧力差を測定することが可能です。2台のセンサを用いる場合は、差圧の測定だけでなく、ライン圧の測定もできます。
圧力単位:bar diff.
基準圧力:第2のプロセス圧力
KELLER Pressure 社の表記:PD(例:PD-39X)
主な用途
• フィルター監視
• 流量測定
• 密閉容器内の液面測定
圧力タイプの一覧

